錆取り方法の種類は?酸洗い・電解・剥離剤の特徴や選び方などについて解説
金属製品を扱う現場において、錆取りは品質を守り、めっきや塗装などの次工程を成功させるための重要な前処理です。しかし、錆は油汚れのように一様ではなく、発生の仕方や金属の種類によって適した処理方法が変わります。そのため、「どの方法を選ぶべきか」「工程やコストにどう影響するのか」と迷う現場も少なくありません。こちらでは、酸洗いによる錆取り、電解による錆取り、剥離剤を用いた方法を取り上げ、それぞれの特徴や工程、選定のポイントを解説します。
錆取りの基本「酸洗い」の工程と注意点

酸洗いは、短時間で広範囲の錆を落とせる方法として多くの現場で利用されています。複雑形状の部品にも適用でき、効率的に処理できる点が大きな特徴です。
酸洗いの原理
酸洗いは、塩酸・硫酸・リン酸といった酸性溶液を用いて、金属表面の酸化鉄(錆)や酸化被膜を化学的に溶解・除去する方法です。錆の状態や金属の種類に応じて、酸の種類や濃度、処理温度、浸漬時間を調整します。
酸洗いの工程と流れ
酸洗いは、一般的に以下のステップで構成されます。各工程での管理が仕上がりの品質を大きく左右します。
前処理
酸が油分や異物に阻害されないよう、事前にアルカリ脱脂や溶剤洗浄で油汚れを除去します。油が残っていると酸が弾かれてしまい、錆の取り残しが発生する原因になります。
酸洗工程
金属を酸溶液に浸漬し、錆を化学的に除去します。酸の濃度や温度、処理時間は、金属の種類や錆の程度に応じて設定することがポイントです。
水洗工程
酸洗い後、表面に残った酸を十分に洗い流します。残留酸は腐食を急速に進行させるため、流水や多段式の水槽で徹底的に除去します。
乾燥
水洗い後、再度錆が発生するのを防ぐために、乾燥処理を行います。状況に応じて、強制乾燥や自然乾燥を決定します。
酸洗いには処理時間が短い、複雑形状にも適用できるといった利点がある一方、作業環境対策や設備・治具の腐食防止などの課題も伴います。安全性と環境への配慮を前提に、工程管理を徹底することが求められます。
電気分解で錆を除去する「電解」の仕組みと工程
電解による錆取りは、電気分解を利用して錆を化学変化させます。金属母材への影響を抑えられる点が特徴で、複雑形状の部品や精度が求められる製品にも適しており、環境負荷の面でも注目されています。
電解の仕組み
錆の付いた金属を陰極に、不活性な電極を陽極にして、アルカリ性や中性の電解液に浸漬します。電流を流すことで陰極表面に水素ガスが発生し、その還元作用で酸化鉄(錆)が金属鉄に戻ります。この反応により、母材を削らずに錆のみを効率的に除去することが可能です。
電解液について
電解液には、水酸化ナトリウム水溶液や炭酸ナトリウム水溶液などのアルカリ性溶液、中性の塩化ナトリウム水溶液などが使用されます。これらの電解液は、電流を効率よく通すための媒体となり、錆の還元反応を促進します。電解槽の形状や電極の配置も、均一な錆取りを実現するために重要な要素です。対象物の形状やサイズに合わせて電極の配置を工夫することで、電流密度を均一にし、ムラのない仕上がりを目指します。
電解錆取りの工程
電解での錆取りは、前処理、電解、水洗、後処理のステップで進められます。
前処理
油や異物が残っていると電流が流れにくく、仕上がりが不均一になるため、事前に脱脂を徹底します。
電解
金属を電解液に浸漬し、通電して錆を還元除去します。電圧・電流密度・処理時間は錆の厚みや材質に応じて調整が必要です。条件が不適切だと、錆の取り残しや過処理が発生する場合があります。
水洗工程
電解後に残った電解液や分解生成物を十分に洗浄します。残留すると、次工程での密着性や外観品質に悪影響を及ぼします。
後処理
電解後の表面は活性化されて錆びやすい状態です。防錆剤や乾燥処理を施すことで、次工程までの品質を維持できます。
精密部品や環境面を重視する現場で有効な方法といえます。また、酸洗いでは処理が困難な素材の錆取りにも適用できる場合があります。
錆取り方法の比較と最適な剥離剤の選び方

錆取りには酸洗いや電解に加え、剥離剤を使う方法もあります。いずれも一長一短があるため、金属の種類や錆の状態、作業環境に応じた選択が欠かせません。
錆取り方法の比較
方法 | メリット | デメリット | 向いている用途 |
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酸洗い |
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頑固・広範囲の錆除去 |
電解 |
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精密部品や再利用部品 |
剥離剤 |
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部分的な錆の除去、小規模現場 |
剥離剤の種類と選び方
剥離剤は主にアルカリ性・中性・酸性に分けられ、それぞれ適した用途があります。
アルカリ性剥離剤
油分と錆が混ざった部材に有効です。鉄鋼材から非鉄金属まで幅広く使用できます。
中性剥離剤
素材への影響が少なく、アルミ・銅など非鉄金属に適しています。強い錆には効果が限定的です。
酸性剥離剤
厚い錆を短時間で落とせるが、母材を侵すリスクがあるため、鉄鋼材中心に使用されます。
剥離剤を選ぶ際は、錆の種類・金属素材・作業環境・環境対応を総合的に判断する必要があります。
酸洗い・電解・剥離剤の特徴を理解し、製品・工程・環境に合わせて最適な方法を見極めることが、効率的な作業と品質向上につながります。
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