酸電解めっき剥離の方法や注意点は?治具選びのポイントやバフカスの除去方法なども解説
めっき剥離やバフカス除去は、製品の品質を左右する重要な工程です。これらのプロセスでは、剥離ムラや基材へのダメージ、作業効率の低下といった課題が発生しやすく、現場の技術者には高い管理力が求められます。こちらでは、酸電解を用いた効率的なめっき剥離方法、品質を保つための治具選び、バフカスの効果的な除去方法などをご紹介します。
酸電解によるめっき剥離の基本と注意点

酸電解は、めっき剥離の現場で広く用いられている手法です。化学的作用と電気化学的作用を組み合わせることで、効率的かつ均一にめっき層を剥離できるため、多くの現場で採用されています。
酸電解めっき剥離の基本的な仕組み
酸電解剥離では、剥離対象の製品をアノード(陽極)、不溶性の金属板をカソード(陰極)として酸性溶液に浸漬し、電流を流します。電解液中の水分子が電気分解されることで、アノードでは酸素が、カソードでは水素が発生します。この際、アノードで発生する酸素の酸化作用と、めっきと基材の電位差を利用した化学的溶解作用が相乗的に働き、めっき層のみを効率良く剥離できます。
酸電解剥離の工程と治具選び
酸電解剥離の工程は、治具への製品取り付けから後処理まで一連の作業として進められます。適切な治具を使うことで、電流が均一に流れ、剥離ムラを防げます。
製品取り付けと電解槽投入
製品を治具に固定し、電解槽に投入します。治具の材質や形状、接触位置が不適切だと電流が偏り、剥離不良や治具の劣化、剥離液への不純物混入の原因となります。
電流通電と剥離制御
電流を流すことで剥離が進行します。液温や浸漬時間を適切に管理し、発熱を伴う反応では冷却装置などを活用することで、過剰な反応を防ぎ基材へのダメージを最小限に抑えられます。
後処理(洗浄・中和)
剥離後は、製品表面の残留液をしっかり洗浄し、中和処理で酸性・アルカリ性を中和します。これにより、基材の腐食防止や後工程への影響を抑え、安定した品質を確保できます。
酸電解剥離で押さえておきたいポイント
- 治具選びは剥離ムラ防止の鍵
- 電流・温度・浸漬時間の管理は、基材保護と作業効率向上に直結する
- 必要に応じて、基材保護機能付き剥離剤の活用も検討
これらのポイントを押さえることで、酸電解剥離工程を安定して運用でき、製品の品質維持と作業効率の向上につながります。
めっき剥離を成功させる治具選定のポイント

めっき剥離は、表面のめっき層を取り除くだけでなく、次工程での品質や作業効率に直結する重要なプロセスです。特に、治具は電流を均一に供給し、製品を固定するための重要なツールです。
治具の役割とめっき剥離での重要性
治具は製品の固定だけでなく、均一な電流供給や素地保護にも大きく寄与します。適切な治具を使うことで、複雑な形状や大量の製品も効率よく処理でき、剥離ムラや基材へのダメージを最小限に抑えられます。
治具が剥離プロセスに与える影響
- 電流の均一性:治設計が不適切だと電流が偏り、剥離ムラが発生。再処理が必要になり、作業効率が低下する
- 素地の保護:適切な治具は剥離液や電流が基材を侵食するのを防ぎ、品質維持につながる
- 作業効率:製品の脱着が容易になり、大量生産ラインでの作業効率を向上させる
治具選定のポイント
治具を選ぶ際には、いくつか押さえておきたいポイントがあります。
治具の材質
治具は剥離液に耐える材質であることが求められます。一般的にはチタンやステンレスが用いられ、耐久性や液への影響を考慮して選定します。
形状と設計
製品の形状やサイズに合わせた設計が欠かせません。複数の製品を同時処理する場合も、電流が均一に流れるように接触点や構造を工夫します。
コストと耐久性
耐久性の高い治具を選ぶことで交換頻度を減らし、長期的なコスト削減につながります。初期投資だけでなく、ランニングコストも考慮して選定することが重要です。
適切な治具選定は、剥離ムラや基材損傷を防ぎ、作業効率を向上させるだけでなく、現場全体の品質管理にもつながります。
バフカス除去の方法と剥離剤の選び方
製品の表面を磨く際に発生するバフカスは、微細な研磨剤や金属粉が混ざった粉状物質です。小さな粒子でも製品に付着したままだと、光沢や表面の滑らかさが損なわれ、仕上がりの美観や品質に影響を与えます。また、バフカスが残っていると、その後のめっきやコーティング工程において付着不良や耐久性低下の原因になることもあります。
バフカスによる問題と除去の課題
バフカスは研磨後に製品表面や細かい溝、隙間に入り込みやすく、放置すると以下のような問題が生じます。
- 表面の光沢や仕上がりが不均一になる
- めっきやコーティングの付着不良の原因になる
- 長期間放置すると腐食や変色を引き起こす場合がある
ブラシやクロスでの手作業洗浄では、時間と手間がかかるうえ、細部のバフカスを完全に取り除くことは困難です。また、力を入れすぎたりすると、製品表面に傷をつけるリスクも伴います。こうした課題から、作業効率を高めつつ製品を傷めない剥離剤の活用が求められます。
適切な剥離剤を選ぶポイント
効率的にバフカスを除去するには、対象となるバフカスの種類や量、製品の材質に応じた剥離剤を選ぶことが重要です。
バフカスの種類に応じた剥離剤の選定
バフカスは、研磨に使われる研磨剤の種類や研磨対象の金属によって組成が異なります。組成を考慮せずに剥離剤を選ぶと、十分な除去効果が得られないだけでなく、製品に思わぬダメージを与えることがあります。例えば、酸化アルミニウム系のバフカスには、比較的中性の剥離剤が有効です。鉄系製品には、アルカリ性の剥離剤が効果的で、作業効率が大きく改善されることがあります。
材質への配慮
剥離剤はバフカスのみを溶解し、製品本体には影響を与えないものを選ぶことがポイントです。異なる材質の製品では、表面が変色したり腐食したりする可能性があります。金属ごとに対応した剥離剤を使用することで、作業効率だけでなく製品の長期的な品質保持にもつながります。
剥離剤の性能を正しく理解し、適切に選定することで作業時間を短縮し、製品の品質を維持できます。
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