金属表面処理の基礎知識や薬品選びのポイントは?

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金属表面処理の品質を高める薬品の基礎知識や選び方などについて解説

めっき・金属加工の現場では、洗浄や脱脂工程に課題を感じることも少なくありません。金属表面にわずかな油分や汚れが残るだけでも、後工程の品質に影響し、不良品や生産性の低下につながることがあります。そうした課題を解決するため、こちらでは、金属表面処理薬品の選び方を解説します。主要な薬品の役割や使い方を整理し、高品質な製品づくりに役立つポイントをお届けします。

金属表面処理薬品の選び方と酸洗添加剤の役割

金属表面処理薬品の選び方と酸洗添加剤の役割

金属表面処理は、最終製品の品質を左右する重要な工程です。そのため、多種多様な種類の中から、適切な薬品を選ぶことがポイントとなります。

金属表面処理薬品の基礎知識と種類

金属表面処理とは、金属の表面に防錆、耐食性向上、外観向上、摩擦軽減、密着性向上などの機能を付与する処理です。こうした目的を達成するため、さまざまな薬品が使用されます。

脱脂剤

加工油や防錆油などの有機物を取り除く薬品です。残留油分があると後工程でめっきの付着不良や塗装ムラの原因になります。

酸洗剤

酸化被膜や錆、スケールなどの無機物を除去する薬品です。母材を傷めずに表面を平滑に整えることが求められます。

化成処理剤

金属表面に化学的に安定した皮膜を形成する薬品です。防錆や密着性向上、仕上げの均一化に役立ちます。

これらの薬品は、めっきや溶接、塗装などの前処理として使用され、後工程の品質を左右します。

酸洗添加剤の役割と選び方

酸洗工程では、金属表面のスケールや錆を除去します。しかし、酸洗剤だけで処理すると、母材まで溶ける「過溶解」が起こることがあります。この過溶解を抑え、処理の均一性を高めるのが酸洗添加剤の役割です。

酸洗添加剤がもたらす主な効果
  • 過溶解の抑制:母材の溶解を防ぎ、薄板や精密部品でも寸法、表面を保護する
  • 均一な処理:処理液の均一性を高め、ムラのない仕上がりを実現する
  • 泡立ちの抑制:泡立ちを減らし、処理液の循環や作業環境を改善する
  • 金属光沢の保持:酸洗後の金属表面の光沢を保つ
被処理金属に合わせた選び方

酸洗添加剤は、金属の種類に応じて適したものを選ぶ必要があります。

  • 鉄鋼:錆やスケールを除去することが主目的
  • ステンレス:不動態皮膜を保護しつつ、汚れを取り除く
  • 銅:光沢を維持し、変色を抑えることを重視

被処理金属の特性を理解し、最適な酸洗添加剤を選ぶことで、高品質な酸洗処理が可能となります。

浸漬脱脂剤で洗浄工程を改善するポイント

浸漬脱脂剤で洗浄工程を改善するポイント

浸漬脱脂は、多くの金属加工現場で行われる基本工程です。しかし、脱脂不良や残留物の付着などのトラブルが発生しやすく、品質や生産性に影響することがあります。

洗浄対象に合わせた脱脂剤の選定

浸漬脱脂剤は、製品の形状や材質、付着している油分の種類に応じて選ぶことが重要です。主な例は以下のとおりです。

  • 鉱物油やグリース:自動車部品や機械部品の脱脂には、アルカリ性の強い脱脂剤が効果的
  • 加工油や切削油:プレス加工や切削加工で使われる油の除去には、エマルション型や水溶性脱脂剤が適している
  • 研磨剤:バフ研磨やバレル研磨で残る研磨剤には、高い分散力を持つ脱脂剤が求められる

洗浄工程を改善するためのポイント

脱脂剤を選ぶ際には、洗浄力だけでなく、被処理物への影響や環境面にも配慮することが大切です。

被処理物への影響

アルミニウムや亜鉛などの両性金属は、強アルカリ性の脱脂剤で表面が荒れることがあります。こうした金属には、専用や中性の脱脂剤を選びます。

作業環境と安全性

作業者の健康や安全のため、引火点が低い脱脂剤や不燃性の脱脂剤を選ぶことが重要です。

環境負荷

排水処理のしやすさや生分解性に優れた脱脂剤を使用することで、環境負荷を低減できます。

これらのポイントを押さえることで、洗浄工程のトラブルを防ぎ、製品の品質向上とコスト削減につなげられます。

電解脱脂剤の効果と選び方

浸漬脱脂とは異なり、電解脱脂は電流を利用して金属表面の汚れを除去する方法です。電解条件や使用する薬品によって仕上がりが大きく変わるため、選定には注意が必要です。

電解脱脂の仕組みとメリット

電解脱脂は、脱脂剤の溶液中で金属を電極とし、電流を流すことで表面に気泡を発生させます。この気泡が物理的に汚れを剥離することで、洗浄を行います。主なメリットは以下のとおりです。

  • 高い洗浄力:物理的な剥離効果により、浸漬脱脂よりも効率的に油汚れを除去できる
  • 洗浄時間の短縮:短時間で油汚れを効率的に取り除ける
  • 複雑な形状への対応:穴や凹凸が多い部品でも、電解によって気泡が隅々まで届き、均一に洗浄できる
  • 活性化効果:金属表面が活性化されることで、後工程のめっきや塗装の密着性が向上する

電解脱脂剤の選び方と注意点

電解脱脂剤は、被処理金属の種類や求める洗浄効果に応じて選ぶ必要があります。代表的な金属ごとのポイントは以下のとおりです。

  • 鉄・鉄合金:一般的な電解脱脂剤で対応可能
  • 銅・銅合金:変色を抑える成分が含まれた脱脂剤が必要
  • ステンレス:不動態皮膜を保護し、過剰な溶解を防ぐ成分が求められる
  • 亜鉛ダイカスト:性金属である亜鉛を侵さずに汚れを除去できる、特殊な処方の脱脂剤が必要

また、電流密度や処理時間、液温などの条件設定も仕上がりに大きく影響します。被処理金属の特性を理解し、最適な電解脱脂剤を選ぶことで、高品質な製品づくりにつながります。

金属表面処理剤のことならサンライト株式会社へ

金属加工やめっきの品質を左右する洗浄・脱脂工程では、薬品の選定が大きなカギとなります。浸漬脱脂剤・電解脱脂剤・酸洗添加剤にはそれぞれ特徴と適切な使い方があり、現場の条件に合わせて最適化することで、不良削減や工程の安定化につながります。

サンライト株式会社は創業以来60年、金属洗浄剤の専門メーカーとして、時代とお客様のニーズに応じた製品を提供してきました。高性能洗浄剤からノーキレート、省エネルギー、環境対応製品まで、多様な課題に応える製品を開発し続けております。お客様の立場となり、洗浄剤の選定、工程の合理化、コスト削減、排水処理対策など、現場の課題に寄り添いながら最適な提案を行います。

各種表面処理工場で培った技術と経験をもとに、信頼性の高いサポートを提供いたします。無償サンプルもご用意しており、粉末は1kg、液体は1Lまで提供可能です。

金属洗浄や表面処理でお困りの際は、ぜひサンライト株式会社の技術と製品をご活用ください。

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商号 サンライト株式会社
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メール gcon@sunlight-warabi.jp
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業務内容
  1. 金属表面処理剤製造販売
  2. 前項に付随する機材の販売
アクセス
交通
JR埼京線「戸田」駅より徒歩約10分
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